シンデレラ the ミュージカル(印象に残ったシーンについて)

昨日は印象に残ったメンバーについて書かせていただきましたが、今日は印象に残ったシーンについて書こうかと思います。
これだけの物語なので心に残るシーンは山のようにありますが、その中でも妖精の女王がシンデレラに魔法をかける前後の部分が一番感じることが多かったので、そのシーンを。

ひとり寂しく留守番をするシンデレラの元へ、おばさん(=妖精の女王)が訪ねてきました。
舞踏会に行って王子様と結ばれることを夢見るシンデレラ。もちろん彼女もその夢を叶えてあげる気マンマンなのですが・・・その前にシンデレラの心の中の確認作業。

(シンデレラ)
素敵な夢を信じられればいいのに。魔法のようなことだって起こるかも知れない。


(妖精の女王)
魔法のようなことだって、起こらないとも限らないけどね。


(シンデレラ)
じゃあ、天使はいると思う?


(妖精の女王)
そうね、まあ、いないとも限らないけどね。でもね・・・親切な天使や妖精の言うことをあんまり信じすぎると危険よ。


(シンデレラ)
どうして?


(妖精の女王)
頼ろうとするからよ。なんでも楽をして、天使達にやってもらおうとするからね。なんでも自分の力でやらなくちゃダメ。


(シンデレラ)
分かるわ。でも、どうしたらいいのか分からなくなるの。だから夢を見たり、結局はお願いしたりしちゃうの。


(妖精の女王)
夢を見ることは大切よ。心に夢がなければなんにもならないからね。


(シンデレラ)
じゃあ、私が今夜どんな願い事をしたか分かる?


【中略】


(妖精の女王)
ありえない。できっこない!


(シンデレラ)
だとしても・・・私はそう信じていたし、今でもそう願ってるの。


(妖精の女王)
あなたはおバカさんよ!ばかばかしい。


(シンデレラ)
何と言われてもいいわ。心からそう願っているの。


(妖精の女王)
本当に…心から?


(シンデレラ)
ええ

さすが妖精の女王だけあって、なんでもできちゃうしどんな夢でも叶えられちゃいますが*1、逆にそれだけの力を持つだけに、いざ魔法を使うときは正しい道を説き、心の中を慎重に確認します。
もしかしたら、人間のために力を使うことは妖精界ではご法度かもしれないですからね・・・いくら女王とはいっても。
でもシンデレラのキレイで真っ直ぐな気持ちに、そして夢を信じ続けられる強さに、ついに力を貸すことに決めました。


しかしここでもう一度、今度は重要な約束を課します。

(妖精の女王)
でもね・・・ただ一つ、絶対に守ってほしい約束があるの。今夜、時計の鐘が12時を打つ前に必ず帰ること。これだけは絶対に忘れてはダメよ。


(シンデレラ)
でもなぜ?12時までに帰ることがそれほど重要なの?


(妖精の女王)
あなたは何にも聞かないで。ただ、約束を守ってくれさえすればいいの。


(従者)
約束をお守り下さい。真夜中の12時までにここを出ないと、もっとびっくりすることが起こりますよ。

ここでは敢えて、12時を過ぎるとどうなるのかは語られません。ただただ「約束を守って」とだけ。
邪推になりますが、妖精の女王はおそらく分かっていたのではないでしょうか。シンデレラは必ず王子の目に留まり、それゆえ最も大事なタイミングで12時を迎えるということが。
それでも必ず、シンデレラは約束を守ってくれるだろうと信じてお城へと送り出しました・・・


このシーンには何気に、さまざまなテーマが織り込まれているのが分かります。
「楽をして他人に頼る前に、まずは自分の力でなんとかしようと心がけること」
「周りに何を言われようと、夢を見ることを決してあきらめないこと」
「大事な約束は、必ず守ること」
これらは現代においても特に蔑ろにされやすい事柄ばかり。サクセスストーリーの影でしっかりと人の道を唱えるあたり、実は結構奥が深いのではないかと思います。

妖精の女王って実はシンデレラの実のお母さん?なんて無粋なことを考えつつ、次回は場面にとらわれない全体的な感想とかを書かせていただこうと思います。

*1:第2幕で王子とシンデレラを引き合わせるシーンで「なんでもできちゃうんだから」っていうセリフもありますしね。